Q&A
Q.コーマってなに?
A.英語で「Coma・コーマ」は、「昏睡」を意味します。
コーマワークにおける「コーマ」とは、いわゆる昏睡状態だけではなく、様々なレベルの意識障害や認知症、亡くなる間際などで、通常とは違う意識状態にあることにより、周囲とのコミュニケーションが困難な状態をいいます。私たちも、日常生活の中で様々な意識状態を経験していますが、「コーマ」とは、ある意識の状態にとどまっている状態、流動性がなく滞っている状態、と言うこともできます。詳しくは[コーマについて]をご覧ください。
Q.回復は期待できますか?
A.コーマワークの臨床実績から、コーマの方の意識状態が改善された例は多く報告されていますが、コーマワークは回復をお約束するものではありません。ご家族にも必ずその点を最初にお伝えしています。
私たちにできることは、コーマの方とご家族や援助者の方が、今よりも互いのつながりを感じられるコミュニケーションが進むように支援することです。
Q.コミュニケーションが進むことで期待できることは?
A.コミュニケーションが進み、コーマの方とご家族や援助者の方それぞれの深い思いが共有されると、関係性に新たな展開が生まれてゆきます。この関係性を基に、コーマの方にご自身の医療に関わる決定(治療やDNAR※など)を問いかけ、ご本人が意思を表明することを助けます。これにより、ご家族が代理で意思決定することによる負担や、悲嘆のプロセスを和らげることが期待できます。
※DNAR(Do Not Attempt Resuscitation)とは:患者本人または患者の利益にかかわる代理者の意思決定をうけて心肺蘇生法をおこなわないこと。
Q.コーマワークについて説明されたパンフレットはありますか?
A.医療者をはじめとした援助職の方々にもコーマワークを知っていただけるように、パンフレットをご用意しております。こちらからご覧になれます。→コーマワークパンフレット(医療者向け)
Q.インタビューではどのようなことを聞かれますか?
A.お人柄や性格、職業、趣味、家族構成、意識障害に至った病気や事故の概要、医学的な情報(身体の状態、意識状態のレベル、人工呼吸器の有無、触れたり動かしたりしてはいけない身体の部分、既往歴、受けている治療など)、子供の頃にみた夢、などについてお聞きします。
ご不明な点やご心配なことがありましたら、お話の中でも遠慮なくお尋ねください。
Q.オンラインでのコーマワークはどのようにするの?
A.ワーカーは、事前のインタビューの内容をもとに、その方の心理状況を推測し、心理的な見立てに基づいた語りかけを行います。オンライン上で相手の方のお身体の様子を見ながら、まずは呼吸に合わせて語りかけていきます。次に、身体の中でも侵襲的になりづらい部位(手首など)に「○○に触れます。」とお断りした上で、その方の意識の中の身体に触れ、反応を見ていきます。呼吸や身体に何かしらの反応があれば、その方の意識の中での体験が進むような語りかけをしながら、コミュニケーションを進めていきます。対面の場合には、実際のお身体に触れながら意識の中の身体にも触れていきます。オンラインでは、実際のお身体に触れることはありませんが、対面と変わりなくその方の意識の中の体験に寄り添い関わります。
Q.コーマワークの体験中は、動いたり、話したりしちゃいけないの?
A.ワークを進めていく中で、身体が自然と動きたくなってきたり、声や音を出したくなるようなことがあるかもしれません。その時は、それに従って身体を動かしたり、声を出したりしてみてください。ワーカーは、安全に配慮しながら、その体験をサポートします。また、万が一、ワーク中に不快感や身体の痛みなどが生じた場合は、その場ですぐにワーカーにお伝えください。ご希望の場合は、ワークを中止することもできます。
Q.インタビューで、子供の頃にみた夢の話を聞くのはなぜ?
A.コーマワークのもととなるプロセス指向心理学(プロセスワーク)は、ユング派の流れを汲んでおり、寝ている時にみる夢は、その方の心理状態を理解する上で重要と考えています。特に、子供の頃にみた夢や夢のような体験の中で最も古いものは、その方の人生にとって大切なテーマとなる象徴的なものを表していると考えられており、大事な情報となりますので、可能であればお話しいただけるとワークの助けになります。